スクリプト言語の実行速度向上や並列化が重要というのは同意なんですが、プログラミング言語というのはやはり適材適所なわけでSSDが普及したところでいわゆるスクリプト言語が滅びることはないでしょう。

 たとえば、 Code-used Time-used Shapesという、さまざまなプログラミング言語に対し実行速度とコードの簡潔さで比較した調査がありますが、これによるとPHPPerlPythonと比較して数倍遅いという結果が示されています。しかし、PHPPythonよりも大幅に普及しています。この理由は色々とあるかと思いますが、PHPはプログラミング初心者が取っつきやすい、比較的簡単にそれっぽいものが作れる、コード例が多くある、などが考えられます。

さらに、ディスクアクセスや DB がボトルネックにならない (あるいはなったとしてもペナルティが少ない) ような時代になったら、言語の速度差がそのままアプリケーションの動作速度になる可能性があるとの言及がありますが、これについても私は限定的な影響しかないと考えています。

 たとえばスクリプト言語が多用されている代表的な分野として、Webアプリケーションがあります。Webアプリケーションにもさまざまなものがありますが、基本的な流れは「ユーザーからのリクエストを受け取って解析し、DBにクエリを投げ、その結果を処理して出力する」というものでしょう。このとき、言語の速度差が効いてくる個所は「リクエストの解析」の部分と、「クエリ結果の処理」の部分となります。しかし、「リクエストの解析」と「クエリ結果の処理」で行われる処理の大半は実際はそう多くない分量のテキスト処理(正規表現マッチやテキストの連結)に費やされるため、言語の速度差はそこまで影響しないと思われます。せいぜい数倍〜十数倍のオーダーではないでしょうか。

 また、プログラムの実行速度が向上した場合、言語による多少の実行速度の差異は相対的に小さくなると思われます。0.1msで完了する処理が0.01msに短縮されたところで、多くの場合得られるメリットは限定的です。Facebookなど、常に大規模なアクセスがあるようなサイトの場合はPHPC/C++に変換して実行することによる高速化はサーバー台数の削減等に有効ですが、一般的なサイトではその行程は手間にしかならないでしょう。

 ということで結論ですが、コーディング効率の良いスクリプト言語が「速度が遅いから」といってCやC++といった言語に駆逐されることはないでしょう。ただし、Google Goなどの高効率な静的言語(Goを静的言語と呼んで良いかどうかは微妙なところですが)の普及が進む可能性はあるとは思います。

 ちなみに完全に蛇足な話ですが、「コンパイル型言語=高速」とは限りません。Objective-Cなどコンパイル型言語なのに比較的低速な言語も存在します。Objective-Cは動的なクラス機構を備えているため、C++よりも数倍〜数十倍のオーダーで遅いらしいです。