釣り記事キタコレ

 新型iPhoneは既存機能のアップデートだけだったし事前リークの通りだったので「失敗作」だよ! という主張。

 この主張をたとえば自動車などに当てはめるとこうなります。

 「よりスマートになったボディ、燃費を大幅に向上させるハイブリッド技術、緊急時に自動的にブレーキをコントロールして衝突の軽減を行うプリクラッシュ機能。どれも歓迎すべき改善点だが、必須ではない。前を走っている車を自動的に追従するクルーズコントロールも、マストアイテムとはいえない。だから失敗作だ」

 普通こんなことをいう人は信用されないのだが、ITの世界では一方的な非難でも許されるから不思議だ。iPhone 3GSiPhone 3Gを単純に高速化しただけの製品だけど、失敗だったのか? そもそもiPhone 3G以前にもスマートフォンというものはあり、それと比較してiPhoneが違った点というのはブラウザがさくさく動くとか、ハード/UIのデザインが優れているとか、そのレベルでしかない。しかし、そのような「小さなアップデート」が使い勝手やユースケースを大きく変えるのである。

 新iPhoneの「小さい変更だけど可能性を大きく変える」ポイントは、「マストアイテムとはいえない」なんて言われている高精細ディスプレイだろう。現状のPCや携帯電話で標準的に利用されているフォントの大きさは、文庫本や新聞などのフォントのサイズと比較すると大きめだ。これは解像度の制約のためで、文字を小さくするとつぶれて読みにくくなってしまうからだ。いっぽう一般的な印刷で使用されている300dpiを超える解像度を持つ新iPhoneなら、フォントのサイズを文庫本レベルに小さくすることができる。

 文字を小さくできるということは、その分いっぺんに表示できる情報量を増やすことができる、ということだ。携帯電話などの小型端末を使ってもっともストレスを感じるのは、同時に閲覧できる情報量の少なさである。これが改善されるだけでも、自分としてはiPhone 4は買いだと思っている。