Kindle DX発表:米国で着実に育ちつつある電子書籍市場。いっぽう日本は……

 米国で雑誌サイズの新Kindleが出たそうで。重さが536g程度ということで、片手で持って寝っ転がって読むにはしんどそうですが、面白そうなデバイスではあります。

 日本ではソニーなどが発売していたe-bookリーダーがコンテンツ不足で盛大にコケたのが記憶に新しい電子ブック業界ですが、Kindle用の書籍は275,000冊も出版されており、また同一の書籍について比較すると、Kindle版の売り上げは紙版の35%程度と、コンテンツも潤沢な模様。

 しかし、なんで日本は電子化されたコンテンツがあまり出ないんでしょうかね。まぁその要因の一つは「不正コピーは絶対に許さない」的なところだとは思うんですが。ちなみに以前雑誌の仕事をやっていたとき、雑誌の記事をPDFでばら売りしようという話があったんですが、色々と問題が出て頓挫してました。

 まず、出版社側のスタンス。「不正コピーが流出して正規にコンテンツを購入したユーザーが困る事態はダメだ」という話なんですが、そうすると例えばダウンロードしたユーザーごとのIDがファイル内に埋め込まれる、などの対応が必要になってしまうわけで配信コストが跳ね上がる。

 作っている側としては、たとえば1特集300円とか、1記事150円とかの収入があれば全然アリなんですが、これに配信コストに1ファイルあたり100円とか200円とかが乗ってしまうとなると一気に需要がダウンするのは目に見えるわけで、それなら無理だなぁ、という話になってしまいました。

 ということで、日本で電子書籍的なコンテンツが流行るには低価格で使えて著作権保護的な要素を備えた配信プラットフォームができるか、もしくは出版社側の意識が変わらない限り難しいのではと思っております。あれだけオンライン出版に消極的だった出版社が携帯コミックに一気に乗り出したのはシステム的に勝手にコピーされて拡散しないからでしょうし。

 その意味ではトーハンの電子書籍販売ビジネスへの参入についてはちょっと期待したいところです(さすがに医学分野だけではツライのではと思いますが)。